奈良県所有の無料で楽しめる日本庭園。池の庭、苔の庭、茶花の庭と、それぞれ異なる趣を楽しめます。
吉城園は、奈良県奈良市にある、奈良県所有の日本庭園です。かつてこの地には興福寺子院の摩尼珠院があったと伝わっており、明治期には民間の所有となりました。その後、1919年(大正8年)に現在の建物と庭園が造られ、奈良県の所有となり、1989年(平成元年)4月1日に開園しました。県営となって以降は有料でしたが、2020年4月からは無料で開放されています。 園内は、池の庭、苔の庭、茶花の庭の3つのエリアに分かれています。池の庭は、江戸時代からの自然の地形、起伏、曲線を巧みに利用し、西に建つ旧正法院家住宅と一体となるように造られています。苔の庭は、全面が杉苔に覆われた庭園で、茅葺屋根の離れ茶室と一体となり、閑静なたたずまいを見せています。地下には飛火野と同系の地下水脈が流れていると言われ、杉苔の生育に適した土地となっています。茶花の庭は、茶席に添える季節感のある草花が植えられ、素朴で潤いのある景観となっています。 園内の建造物として、旧正法院家住宅は、大正期の近代和風住宅として、2011年(平成23年)3月に奈良県指定有形文化財となりました。離れ茶室は、茅葺屋根の茶室で、2010年(平成22年)5月に葺き替えが行われました。 吉城園は、奈良公園のすぐそばにあり、東大寺や春日大社へのアクセスも良好です。静かで美しい庭園を散策し、歴史を感じながら、ゆったりと過ごすことができます。無料開放されているので、気軽に立ち寄ってみてください。