江戸時代の豪農の生活を今に伝える、国の重要文化財に指定されている貴重な古民家です。
下時国家住宅は、石川県輪島市にある、国指定重要文化財の江戸時代前期の古民家で、加賀藩領に移り住んだ時国家の分家住宅として、代々受け継がれてきたものです。下時国家は、寛文10年(1670)、時国家12代藤左衛門時保の時に分家して加賀藩領のこの地に移り、藩の山役や塩吟味役を勤めたと伝えられています。現在の住宅は、寛文10年(1670)の分家のおりの建造と伝えられていますが、確証は得られないものの、構造や技術から判断して、分家からあまり遅れない時期のものと見られます。 規模が大きく、桁行13間、梁行8間で、南向きに建ち、入母屋造り、平入りで、茅葺の大きな屋根を持ち、4方に瓦葺の庇を巡らせています。間取りは、奥能登農家の大型のもので、役宅部分は、庭に面して奥座敷・中座敷・下座敷と並び、前面の入側を、御縁座敷とよび、濡れ縁が付き、納戸には帳台構の跡が残っているなど、当時の豪農の生活様式を垣間見ることができます。特に土間はすこぶる広く、主屋の間口の約半分を占め、3本の独立柱や幾重にも重なる巨大な梁組に、下人を使って大手作りをしていた大農家の往時の生活をしのばせるものがあります。 下時国家住宅は、江戸時代の豪農の生活様式を今に伝える、貴重な建造物であり、歴史と文化を感じることができる観光スポットです。輪島を訪れた際は、ぜひ見学してみてはいかがでしょうか。