富士山の溶岩流によってできた神秘的な洞窟!溶岩ドームや縄状溶岩など、洞窟探検を楽しめる!
西湖コウモリ穴は、山梨県富士河口湖町にある、コウモリの棲息地として知られる溶岩洞穴です。国の天然記念物に指定されており、富士山の溶岩流によって形成された洞穴内は、溶岩ドームや縄状溶岩など、溶岩洞穴特有の形状が見られます。洞窟探検の気分が味わえるだけでなく、青木ヶ原樹海の豊かな自然も満喫できます。 西湖コウモリ穴は、864年から866年にかけて発生した貞観大噴火によって流出した溶岩流によって形成されました。洞窟の総延長は386.5メートルあり、富士山麓に多数ある溶岩洞穴の中でも規模が大きく、洞穴の内部は複数の支洞が迷路状に発達した立体的な構造をしています。 洞穴内には、溶岩ドームや縄状溶岩、溶岩棚など、溶岩洞穴特有の形状が数多く見られます。溶岩ドームは、洞穴が形成された際に、水蒸気を主体とするガスが1ヶ所に集まってできたもので、西湖コウモリ穴で最も広いホール状の空間の中央付近には、直径約1.5メートル、高さ約50センチの溶岩ドームが現存しています。縄状溶岩は、溶岩が流れた方向の様子がわかるもので、西湖コウモリ穴を代表する景観のひとつです。粘性の少ない溶岩が、傾斜のゆるい所に流れてきた際に、熱く熱したマグマの表面は固結するが、内部は未だ柔らかいため、固結した上部の部分が薄皮のようになり、下部である内部の柔らかい部分の流動に引っ張られ、ロープを何本も並べたような凹凸の激しい縞模様が形成されます。 また、洞穴内は年間を通して気温が安定しているため、かつては多数のコウモリが冬眠のために生息していました。しかし、洞穴周辺の開発や、無差別な立ち入りなどにより、一時はコウモリの姿がほとんど見られなくなってしまった時期がありました。1990年代から始まった関係者による保護活動により、徐々にではあるが再びコウモリの生息が確認されるようになりました。現在では、洞窟内の2ヶ所はコウモリの保護区域として木製の防護柵が設けられ立ち入りが制限されています。 西湖コウモリ穴は、洞窟探検の気分が味わえるだけでなく、青木ヶ原樹海の豊かな自然も満喫できます。洞窟周辺には、遊歩道が整備されており、ツガ、ウラジロモミ、ゴヨウマツ等の針葉樹を主体として、ミズナラ、コナラ、カエデ等の広葉樹が密生し、昼でも暗い森を作っている青木ヶ原樹海特有の植生を間近に観察することができます。西湖コウモリ穴を訪れれば、洞窟探検と自然散策の両方を楽しむことができます。