彫刻家・朝倉文夫が晩年を過ごしたアトリエ兼住居を改修した美術館。彼の作品や遺品を通して、芸術と生活を垣間見ることができる。
朝倉彫塑館は、彫刻家・朝倉文夫が晩年を過ごしたアトリエ兼住居を改修した美術館です。朝倉文夫は、日本の近代彫刻を代表する彫刻家の一人で、数多くの作品を世に残しました。彼の代表作には、「墓守」「婦人像」「猫」などがあります。朝倉彫塑館では、これらの作品を展示するだけでなく、朝倉文夫の遺品やコレクションも展示されています。これらを通して、朝倉文夫の芸術と生活を垣間見ることができます。 建物は朝倉文夫自ら設計したもので、洋館と和風建築が融合した独特なデザインが魅力です。鉄筋コンクリート造で地上3階・地下2階のアトリエ棟と、地上2階建の住居棟からなり、延べ床面積は約1085平方メートル。住居棟は丸太と竹をモチーフにした数寄屋造で、その和洋折衷の特異な建築は朝倉文夫本人が自ら設計し、その意向が強く生かされている。朝倉による増改築や建て替えは少なくとも8回に及び、随筆『我家吾家物譚(がやがやものがたり)』で、家を自ら設計する楽しみを語っている。『我家吾家物譚』は、写真集と合本で彫塑館で刊行・販売されている。 また、中庭には、朝倉文夫がこだわって造った日本庭園があり、四季折々の美しい風景を楽しむことができます。「五典の池」を中心とした日本庭園の中庭と、大きなオリーブの樹が印象的な屋上菜園である。池は谷中の湧水を利用しており、四季折々必ず白い花をつける木が植えられ、儒教の五常「仁・義・礼・智・心」を造形化した5つの巨石が配されたユニークな造園様式である。また日本で最初の屋上緑化ともいえるその菜園は、自然に触れることを芸術の基本と考えていた朝倉文夫の理念そのものである。当時は大根やトマト、東洋ラン等が育てられていた。現在は花壇となっている。 朝倉彫塑館は、彫刻、建築、庭園など、さまざまな角度から楽しめる美術館です。ぜひ足を運んで、朝倉文夫の世界に触れてみてください。