江戸時代の城下町の面影を色濃く残す、静寂の中に歴史を感じられる場所。
寺町は、元和3年(1617)に戸田氏鉄が現在の北城内・南城内に尼崎城築城を命ぜられ、それにともない城下町形成の一環として寺院ばかりを集めて作った町です。城地に当たるために移転した本興寺には同年12月付の棟札がのこされています。寺町には城地に当たる寺院のほか、中世以来町場にあった寺院、周辺にあった寺院や藩主ゆかりの寺院などが集められ形成されました。寺町は城下町の北西隅、武家屋敷の北側に当たり、町場から分離して寺院の力を弱めるとともに、巨大な建物群である寺院を配置して城に対する防備の役割をもたす目的があったとも考えられています。江戸時代初期(1635年)の城下絵図には20か寺の寺院が確認できますが、今日に至るまでには藩主の交替に伴う移転や廃寺などがあり、現在は11か寺が軒を連ねています。街中にありながらも周囲の賑やかさをよそに、江戸時代城下町の雰囲気を唯一伝える町です。静寂の中に歴史を感じ、ゆったりと散策してみてはいかがでしょうか。当時の面影を残す寺院や街並みを眺めながら、歴史に思いを馳せるのもおすすめです。