奈良県宇陀市にある歴史ある寺院。春には千年桜、秋には彼岸花と、四季折々の美しい景色を楽しめます。
佛隆寺は、奈良県宇陀市榛原赤埴にある真言宗室生寺派の寺院です。山号は摩尼山、本尊は十一面観音です。室生寺の南門として本寺と末寺の関係にあり、古くから深い歴史と伝統を誇っています。 佛隆寺の起源は平安時代前期の嘉祥3年(850年)に、空海(弘法大師)の高弟・堅恵(けんね)が創建したと伝えられています。しかし、それ以前に奈良・興福寺の修円が創建したという説もあり、詳しい創建時期については諸説あります。 佛隆寺は、春には「千年桜」が咲き誇り、秋には彼岸花が咲き乱れるなど、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。 「千年桜」は、推定樹齢900年とされ、ヤマザクラとエドヒガンの雑種であるモチズキザクラの一種です。1978年に奈良県の天然記念物に指定されましたが、その後の鑑定でモチヅキザクラであることが判明しました。 彼岸の頃には、約200段の石段の両側をヒガンバナの花が埋め尽くし、かつてはヒガンバナの名所として知られていました。しかし、近年ではシカとイノシシの食害によりほぼ全滅してしまいました。その後、食害対策の柵が完成し、ボランティアにより少しずつヒガンバナの球根が植えられており、少しずつですが復活しつつあります。 佛隆寺は、大和茶発祥の地としても知られています。空海が唐から持ち帰った最古の茶を栽培したとされ、境内には茶臼も残っています。 佛隆寺は、歴史と自然が調和した静寂の空間です。静かな山間に佇む佛隆寺で、ゆったりと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。